落ち着きすぎても良くないことがある。

*ボヤ騒ぎ

私が中学生の頃、

冬の夜だった。

自宅の二階で寝ていると、

祖父が大声で叫んだ。

『火事だ。起きろ!』

夢の中の私は、

最初何を言っているのか、わからなかった。

一瞬、悪い冗談かとも思ったが、

そんなことを言う祖父ではなかった。

 

跳び起きて窓から外を見ると、

風呂場の屋根窓から炎が出ている。

オレンジ色の炎が、恐ろしかった。

 

祖父の大声が家中に響いた。

私には、

おまえは、消防署に電話せえ❗️

弟には、

おまえは、近所の人を起こしてこい❗️

祖母には、

井戸水をバケツにくめ❗️

 

実は、私の両親は、衣料品店をやっていて、

普段はその店に寝泊まりしており、

その晩も家にはいなかった。

祖父の指示に従い

私は、

電話のある部屋に入ろうとしたが、

ガラス戸を膝で蹴りあげてしまった。

引き戸を開けずに

部屋に入ろうとしてしまったのだ。

パリーン❗️という音、

飛び散ったガラスの破片。

 

その時、私は何日か前に見た、

テレビ番組の事を思い出した。

確かNHKの朝のニュース番組だった。

それは、

火災にあった人が、

119番通報した時の音声

を消防署で録音していたものが

流されていた。

 

ろれつが回らず、

しどろもどろ、の内容だった。

番組のアナウンサーは、言った。

 

「皆さん、火事の時は、

あわてないで、

119番通報しましょう。」

約1秒程の時間だったと思う。

 

それから、私は、

119番通報して、こう話した。

 

『家が火事です。

(1秒開けて)

こちらは、◎◎町◎◎番地の

●●です。』

できるだけ、

ゆっくり、しゃべった。

その後の

相手方とのやり取りは

良く覚えていない。

 

その後の火災の現場では、

色々な事があって、

結果、

なんとか、ボヤでおさまった。

 

翌日、親戚達が家に見舞いに来てくれた。

親戚のひとりが、

『昨日のサイレンの音は小さくて、

鳴る回数も少なかったな。』

すると、

父が、言った。

『消防署に電話をかけてきた人の声が、

落ち着き過ぎていて、

何か

【疑問】

を感じていたらしい。』との事。

 

私は、少し反省した。

 

落ち着き過ぎてもいかん事も

あるんやな。

 

そして、いつも言っていた祖父の言葉。

 

「火事は何もかんも

全部持っていくから恐ろしい。」

 

本当にその通りだ、と思う。